このブログを読んでいる御諸兄なら阿部定事件を知らない方は数少ないと思います。
昭和11年、性交中に愛人の男性を扼殺し、性器を切り取って持ち去ったという事件。
その阿部定が遊女としての最期を過した大正楼が京口新地に今も残っています。
しかもGOOGLEMAPにも載っているという・・・ええんかいな。
全国遊廓案内には糸口新地と記されているがこれは誤植のようで、京口新地が正しい地名のようです。
同書では貸座敷2軒、娼妓約110名とのこと。
貸座敷と娼妓のバランスがちと悪いような・・・まあまあ、細かいことは気にせずにおきましょう。
場所は福知山線篠山口駅から東へ約5キロ、現在の住所でいうと池上と呼ばれる地名の水路で囲まれた区域。
近くにコーナンとジョーシンがあります。
遊郭というのはこういう堀とか石垣に囲まれたところが多いですねぇ。
京口新地跡地は空き地が目立ちます。
近年取り壊された物件も多いのでしょう。
遊郭の跡地はそれほど広くはなくすぐに目的の大正楼が見つかります。
まぁ、GOOGLEMAPに載ってるから見失うことないですけどね・・・
正面の家紋。
そして玄関脇には大正楼のシンボルでもある瓢箪。
夕方に寄ったんで木の陰で見にくいのはご勘弁を。
割れてる窓を覗くとなんとお風呂が!
阿部定もこの湯舟に浸かっていたんでしょうか。
裏に回ると蔦がびっしり。
周囲はバラックというか、なんというか・・・複雑な地域なんでしょう。
面影を残す建物も数軒あります。
こちらには丸窓、しかも2連です。
朽ち果てたお稲荷様も。
その中でも抜群の存在感があるのはこの建物。
この玄関の意匠、素晴らしいです。
なぜかリヤカー、でもなんか似合いますね。
玄関から中を覗けます。
明治に歩兵第七十連隊が置かれたため創設された京口新地ですが、とても客質が悪かったと聞きます。
そう思えば阿部定が不憫に感じてしまいます。
どんな女性だったんでしょうか、会ってみたかったもんですね。
切り取られるんはかなわんけど・・・
訪問日 2016.10.15
阿部定事件は「愛のコリーダ」をはじめ、いろんな映画や書籍にもなってます。
それだけ当時としてはショッキングでニュース性に溢れる事件だったんでしょう。