有楽荘は豊橋の遊里、別名小池遊郭。
吾妻遊郭の一部の業者が戦中戦後に引越してきてできたものらしい。
この遊里は一部の情報では稼働中のものもあるとかないとか。
コロナ禍のなか、おいそれと確かめに入るわけにもいかないので写真に撮った建物の扉の開き具合で判断されたし。
あまり深く追求して闇の組織に追われるのはめにはなりたくない。
いつも廓で写真を撮る際は、ある程度周囲の雰囲気を察知しながら中核部へ入っていくことが多い。
愉しみは後にとっておくいやらしい性格もある。
なのですぐに目抜き通りに入らず周辺の建物から。
・・・の割には初っ端からインパクトの強い料理店跡、名作アニメの舞台になったところなのか。
その裏にも縦格子の物件。
2階の手摺と鬼瓦の破風でそれとわかる建物。
律儀な筆者は1枚目のたばこ屋辺りまで戻って目抜き通りへ入っていく。
「秀の家」破風と窓、2階の街灯まで隙のない建物。
そして少し開いた玄関。
かなりの大店であっただろう「富久有」。
今は選挙事務所か公民館的なものか・・・開いているのは開いている。
斜向かいの「杜月」。
玄関扉に屋号が彫り込まれている。
杜月向かいの建物こそなくなっているものの、これだけ当時の物件がそのまま残っている廓もなかなか稀ではなかろうか。
杜月の並びのカフェー風建物。
格子が新しくなっている。
カフェー風建物の裏手にあたる駐車場にせりだしたこの石も遺構にあたるんだろう。
風情があるんだかないんだかわからない建物。
筆者はなんかこういった感じのものに名古屋(ではないが・・・)を感じる。
新々という料理店が入居している「三楽」。
唐破風にたぬきの置物、異世界にいるような感覚になる。
そういえば大和郡山の東岡遊廓にもたぬきの置物があった。
三楽の裏玄関、こちら側も扉が二つ。
きちんと閉まっている。
最後はベンガラの壁と少し開いた扉が特徴の「浜長」。
個人的には細かい細工の透かし彫りがベンガラの壁に映っているのがツボ。
八日市、岡崎、豊橋と続く今回の写真は、夫婦で浜松の舘山寺温泉へGotoキャンペーンを使って旅行に行くついでに立ち寄った。
というよりは前回の東田園を見たくて旅行の行き先を決めたようなもの。
実はこの有楽荘は時間が許されなければ立ち寄るのを断念しようと思っていた。
しかし実際立ち寄ってみると東田園よりも有楽荘のほうが散策し甲斐があり、哀愁も感じられ気に入ってしまった。
この地での商いに拘る気持ちがわかる気がした。
[訪廓日:2020.10.11]