延命新地は滋賀県東近江市八日市にかつてあった遊里。
全国遊廓案内では揚屋が41件、娼妓50人、芸者が55人と記載がある。
最盛期は飛行第3戦隊が八日市飛行場にあった時代であり、第二次大戦後は売春防止法の施行に伴い遊郭も解体されたと知ったようなことを云うもwikipediaに詳しく記載されているのでその受け売りである。
滋賀県で少し時間待ちがあったので立ち寄ってみた。
八日市駅とは反対側の駐車場に車を停めたので商店街の南側から。
いつも赤線跡を巡る際にはたいてい周囲の商店街等から舐めるように廓に侵入していくのだが、そうこうしている間にも取り壊されて逃げられるのではないかという気持ちになる自分を愉しんでいるのは同じ趣向を持つ偏屈者同士ならわかってもらえるんじゃないだろうか。
なので遊里のある方向とはあえて逆に歩いてみたりする。
地方都市の寂れ具合はどこもかしこも同じようなもんか。
しかし地域を再び興そうとする若い世代も少なくなさそう。
ついぞ前まで風俗店がケバケバしく入居していたビルもテナント募集中に。
廓の北側まで来た。
車内からお犬様が怪訝そうにこちらを伺っている。
さて、意を決して延命新地の核心部へ。
最近それっぽく舗装しなおしたようで雰囲気がある。
招福楼直営の料理店「吉祥軒」。
縦格子のそれらしい造りの建物とスナックが共存する空間。
子子子(こねこ)のその奥の扉がすごく気になる。
延命新地で一番気になっていたのがこのスナックマナミ。
この路地が残ってくれていたので一安心。
最深部にある瀬戸海も残っていてくれていたが営業されている形跡はない。
この日、延命新地のすぐそばに住んでいる方と話をすることができ、その際「このあたりは夜になると出るらしいですよ・・・」というので筆者はてっきり立ちんぼが出現するのかと思ったのだが、実は霊的なものが出るという意味らしい。
そちら方面の方とは筆者は面識がなく興味がないので残念な気持ちになった。
「ともしび」・・・たしかに出てもおかしくない雰囲気。
寿命の縮まるような思いでひきつづき延命新地を散策。
延命湯はいまだご存命。
モクモクと煙を吐き出している。
八日市駅のほうはかなり開発が進んでいたのでどれだけ残ってくれているか心配だったが思っていたよりも当時の雰囲気が感じられたのでよかった。
舗装を新しくしていたりするので区画自体は残していく方向性なのかなと安堵して八日市を去った。
[訪廓日2020.10.10]