京都にあった五番町遊郭は水上勉の小説「五番町夕霧楼」の舞台となった場所である。
その歴史は江戸時代初期まで遡り、御所拡大に伴い移住してきた住民が北野天満宮、愛宕山への参拝客を相手に煮売茶屋をはじめそれが花街として発展、上七軒の管下として営業が許可された。
第二次世界大戦後は西陣新地と名称を変えて営業していたが、昭和33年の売春防止法施工によりその幕を閉じたのである。
・・・とWikipediaに記載されています。
場所は京都市上京区、二条城と北野天満宮のちょうど真ん中あたり、千本通り沿いに今も五番町という地名が残っています。
千本通り沿いにある銭湯「亀の湯」。
おそらく営業はしていなさそう。
亀の湯の裏手あたりに五番町遊郭があったのですが、現在は完全に住宅街と化してます。
この辺りもなんとなく面影があるといえばあるような、他の京都の町並みと変わらないような・・・
閑静な住宅街には不釣合いなピンク映画館「千本日活」。
もちろん筆者も存在は知っていましたが、住宅街に突然現れるこの映画館の存在には驚かされました。
入場料金は500円、採算取れるんでしょうかね。
多くの成人男性がお世話になってきたことでしょう、撮影してる5分程度の間だけでも数人の出入りがありました。
これでも回転率さえよければやっていけるのか。
その程近く、ペット用品店になっている建物。
2階の雨戸が閉まってますが、隙間から手摺と透かし彫りが少しだけ見えます。
周囲の町並み。
すっぽん料理の「大市」。
滋養強壮の定番料理ですが、当時からすっぽん料理はあったんかな?
焼肉「江畑」と並びの住宅。
玄関の開き具合がなんともな物件です。
真新しい住宅が並ぶ中に遺構らしき物件がちらほらとあります。
他所様のブログを拝見させてもらってた限りでは周囲にはスナックが数件残ってたようですが、ほとんど見当たりません。
立て替えられたのか、散策しきれなかったのか・・・
そしてもうひとつとても残念なことが・・・
この場所に大きな妓楼が残されていたはずなんですが取り壊されていました。
GOOGLE MAPでは今も残ってるのに、一足遅かったです。
気を取り直して散策を続けます。
くの字やコの字の形をした路地が多く、妓楼を改築したような建物も。
こちらはゲストハウスに改装されてます。
七本松通りのほうまで足を進めると、一段と目を惹かれる立派な物件が。
裏へ回ると「ぬけられます」路地が。
建物裏手。
なかなかの意匠、ただならぬ雰囲気を持った物件です。
その一角もこの雰囲気。
間違いない「料理屋」の鑑識。
Wikipwdiaによると、明治時代の五番町遊郭は東部は芸妓、西部は娼妓としてそれぞれ栄え、特に芸妓部は祇園甲部、先斗町と並ぶ芸所として名を馳せていた。
しかし、近くには上七軒があり、五番町は上七軒より揚げ代が安かったため次第に娼妓本位の花街となったようです。
売春防止法施行以降、一部のお茶屋は営業していたそうですが時代の流れにより普通の住宅地へと変貌し、現在ではほとんど遊郭としての姿は残されていません。
上記の歴史的背景から下級花街と呼ばれていた五番町遊郭ですが、筆者のような特異な人間からすればそのおかげで観光地化されず時代とともに自然と風化された遊郭・赤線跡地としての雰囲気を残してくれているこの街がとても魅力的に感じます。
せめて少しでも永く残してもらいたいものですね。
訪問日2018.04.01